フォーラム「日本のインターネットガバナンスの課題と展望」


プログラム:


14:00 開場


14:30 - 15:30 「なぜ JPNIC を訴えたのか」 鈴木常彦 (元中部アカデミックネットワーク代表/中京大学工学部教授)

 JPNIC は2011年8月31日に規約を一方的に変更し、私や多くの歴史的PIアドレス(JPNICができる前から使われていたもの)やAS番号の利用者たちがそれに同意していないにも関わらず、平成24年度から歴史的PIアドレスやAS番号に対して維持料を課すことを決め、平成9年に東海地域のネットワークの相互接続のために割り当てを受けた AS7520 にも2012年度から維持料を請求してきました。
 維持料の負担自体には反対ではなかったものの、当事者を排除したその決め方に従前からの JPNIC の非民主的な運営のあり方、ひいては日本のインターノットガバナンスの非民主的な状況が象徴的に反映されていることを感じ、その問題提起の方法として裁判を起こすことを決意し戦い破れた経緯についてお話をさせて頂きます。


15:40 - 16:40 「日本のインターネットガバナンスの課題と展望 なにが問題なのか」 会津泉氏 (公財)ハイパーネットワーク社会研究所理事長・所長)

 一昨年の「NSAスノーデン事件」は、国際社会に大きな衝撃を与えた。米国政府がネット上の膨大な情報をGoogle、アップル、Facebookなど米国の巨大ネット企業らの協力を得て、秘密裏に盗聴・収集・利用していたことが暴露され、西側諸国を含めてアメリカの「正統性」への疑義が突きつけられた。
 とくに、ドメイン名管理の「国際」組織であるICANNが、基本部分で米国政府との法的契約のもとで成立していることの正統性に大きな揺らぎが生じ、米国政府は昨年3月、2015年秋にICANNとの法的関係を終結すると発表せざるをえなくなった。4月にブラジルでNETmundial会議が開かれ、インターネットの「マルチステークホルダー・ガバナンス」の基本について議論し、合意文書がまとめられた。
 11月には中国で「世界インターネット大会」が開かれ、ICANNのトップも招かれ、ネットをめぐる経済、ガバナンス、セキュリティなどの課題についての議論が、中国政府首脳も参加して行われた。12月にはドイツで「サイバースペース協力サミット」が開かれた。
 来る3月にはユネスコがパリでネットの政策課題の会議、4月にはオランダ政府主催「サイバースペース会議」が開かれるなど、一連の議論が続いていく。
 日本では、総務省が情報通信審議会に「ドメイン名政策委員会」を設置し、「.jp」のガバナンスのあり方について審議を続け、12月に答申がまとめられ、「民間主導」としてきた従来の体制を尊重しつつ、政府の役割を法的に位置付けること、国内での利用者を含むマルチステークホルダーでの議論の場を設けること、国際的なガバナンス議論に積極参加すること、などが確認された。
 しかし、国際的な議論も、国内の議論もまだまだ不十分で、課題は多い。JPNICへの訴訟は、ある意味では氷山の一角を突いたものと考えられる。
 これらの動きと私見を紹介し、日本のネットのガバナンスのあり方にどのような課題があるのか、何が問題で、どうすべきかについて考える材料を提供します。


16:50 - 17:30 質疑応答、ディスカッション


18:00 懇親会


フォーラムは参加自由ですが、懇親会については人数把握のため主催者にご連絡ください。

主催担当者: 中部アカデミックネットワーク 鈴木 forum@e-ontap.com